リコーリース<8566>を評価してみた【高配当株】

高配当株のリコーリースを評価してみた

こんにちは!こきゅまです。

今日は、連続増配ランキング2位の「リコーリース」について、業績や財務状況などを分析・考察し、

高配当株として「リコーリースは優良企業」なのか、評価しました。

※当サイトは、当該企業について、管理者個人が評価したものであり、当該株式の売買を推奨するものではありません。当該株式の売買等で損失等が発生したとしても、当サイトは一切の責任を負いかねます。売買に際しては、自己責任・自己判断でお願いします。

※2023年5月27日時点での内容です。

目次

【結論】評価結果

最初に結論です。総合評価は「C」ランクとなりました。

項  目評  価
業  績E
財務状況B
配  当S
将 来 性D
総合評価C
※独自の方法にて、S~Eランクの6段階で評価しています

評価される点

  • 営業利益は、横ばいが続いていたが、直近が増加しており、2023/3期は過去最高を達成
  • EPSは、緩やかに増加しており、10年間で1.5倍程度に成長
  • 流動比率は、366.7%(直近)で超優良
  • 配当金は、1996/3期より「28期連続増配中」ランキング2位10年間で約3倍に成長
  • 配当性向(直近3カ年平均)は、27.7%と余力は十分

懸念する点

  • 売上高は、緩やかながらも順調に成長していたが、コロナで下落。まだ復調とは言い難い。
  • ROEは、徐々に下がっており、直近3カ年平均は6.9%と低評価
  • 比較的成熟した市場、人口減少による市場規模の縮小懸念、グローバル化への見通しなし、厳しい競争環境でのビジネス、等の理由により、急激な成長は期待し難い(これまでの実績も、成長は緩やか)。

【概要】リコーリースってどんな会社?

リコーグループの一員で、業界9位のリース会社

リコー製品の販売支援を目的に1976年に設立。

リコーの光学OA機器リースを中心としたリース&ファイナンス事業が、売上の9割以上を占める。

そのほか、集金代行や債券保証といったサービス事業、住宅賃貸や太陽光発電といったインベストメント事業等で構成される。

配当金について、「28期連続増配中」でランキング2位(国内)

リコーリースのセグメント(売上・利益)構成比
セグメント構成(2022/3期)
マネックス証券株式会社より

【業績】これまでの業績を見てみよう

業績については、「E」ランクと評価します。

  • 売上高は、緩やかながらも順調に成長していたが、コロナで下落。まだ復調とは言い難い。
  • 営業利益は、横ばいが続いていたが、直近が増加しており、2023/3期は過去最高を達成。ただし、伸び率は低め。
  • EPSは、緩やかに増加しており、10年間で1.5倍程度に成長
  • ROEは、徐々に下がっており、直近3カ年平均は6.9%と低評価
  • 赤字はなし
ROEとは?
  • 株主が出資したお金を元手に、どれだけの利益をあげれたのかを示す指標。
  • ROE=(当期純利益)÷(自己資本)×100 で求められる。(当サイトでは、自己資本ではなく、株主資本を使用)
  • ROEが高いほど、株主の資本を上手に使って利益を稼いでおり、ビジネスの質が良いと言える。
  • 一般的に8%を超えると優良企業と言われる。なお、日本国内の上場企業の中央値は7.5%である。
リコーリースの業績(売上高、営業利益)の推移
リコーリースの業績(EPS、ROE)の推移

○直近の決算について

2023/3期の本決算では、対前期比で減収増益となりました。当初計画についても、売上高は未達、利益は達成です。

  • 融資や割賦等のリース&ファイナンス事業が伸長するも、前年の大口債権の早期返済による反動により減収
  • リース&ファイナンス事業は、融資や再リース、割賦の伸長と貸倒費用の減少により増益
  • サービス事業は、当第4四半期よりWelfareすずらんの業績を連結業績に反映
  • インベストメント事業は、住宅賃貸・不動産関連が伸長し増収増益

減収となりましたが、利益は伸びて過去最高を達成したため、比較的順調と言えそうです。ただし、売上高はコロナ前の業績には及ばないため、早期の回復が望まれます

○今期の通期予想について

  • 「販売費及び一般管理費」の増加を売上総利益の増加で吸収できず減益
  • 前年のコロナ関連レンタル特需を除くと、「サービス」・「リース&ファイナンス」事業が伸長し、4.9億円の増益計画
  • 2024/3期よりWelfareすずらんの業績が通期で連結業績に反映され、「サービス事業粗利」と「人財・その他経費」が増加
  • 市況の状況から「資金原価」及び「貸倒費用」は増加。「戦略経費」は優先順位の管理を強化

売上は伸びる計画であり、順調さを伺えますが、減益となることに注意が必要です。前年のコロナ特需の影響を除けば、増益のようなので、多少安心できる一方、「販売費及び一般管理費」の増加率が大きいことが気になりますね。

売上高(百万)営業利益(百万)当期純利益(百万)
FY2022 実績303,85319,28013,481
FY2023 実績
(増減率)
298,889
△1.6%
21,242
10.2%
14,879
10.4%
FY2023 計画
(進捗率)
306,000
97.7%
20,000
106.2%
13,500
110.2%
FY2024 予想
(増減率)
306,000
2.4%
20,600
△3.0%
14,400
△3.2%
()内は、対前期増減率または進捗率

【財務状況】財務状況を確認しよう

財務状況については、「B」ランクと評価します。

  • 長期的な安全性を見る株主資本比率は、16.8%(直近3カ年平均)。ビジネスモデル上やむを得ないこと、同業種と比べてもそこまで低い値ではないことから、評価は中立。
  • 短期的な安全性を見る流動比率は、366.7%(直近)で超優良
  • 営業CFは、プラスとマイナスでまちまちだが、リース会社では賃貸資産の購入売却等が影響するため、一概に判断ができない。
  • 現金等は、借入等によるキャッシュインフローの影響もあり単純には評価できないが、一定程度は確保。しかしながら、事業規模等と比較して、少し心もとない
株主資本比率とは?
  • 総資産における株主資本の割合で、企業の長期的な安全性を表す指標。
  • 株主資本比率=(株主資本)÷(総資産)×100 で求められる。
  • 株主資本比率が高いほど、総資産に占める負債等の割合が少ないことを意味し、財務が健全な状態と言える。
  • 一般的に30~40%程度あると、倒産リスクは低いと言われる。なお、日本国内の上場企業の中央値は52.2%である。
流動比率とは?
  • 流動資産と流動負債の割合で、企業の短期的な安全性を表す指標。
  • 流動比率=(流動資産)÷(流動負債)×100 で求められる。
  • 流動比率が高いほど、企業の短期的な支払い能力が高いことを意味し、財務が健全な状態と言える。
  • 流動負債(借金)を全て返せるように、一般的には100%以上はほしいと言われる。なお、日本国内の上場企業の中央値は207.4%である。
リコーリースのキャッシュフロー(営業CF、現金等価物)の推移

【株主還元】株主への貢献を見てみよう

株主還元については、「S」ランクと評価します。

  • 配当金は、1996/3期より「28期連続増配中」ランキング2位10年間で約3倍に成長
  • 今期(2024/3期)も、150円/株と+5円の増配予想
  • 配当方針は、中計目標として配当性向35%を目指す
  • 配当性向(直近3カ年平均)は、27.7%と余力は十分
  • 自社株買いは、ほとんどなく、直近では、2020/3期のみ。
リコーリースの配当(配当金、配当性向)の推移

配当について、「28期連続増配中」で、連続増配ランキング2位(国内)

一方、注意すべきことは、増配とともに、配当性向も徐々に上がっていること。ただし、直近で30.0%であり、余力は十分です。

利益が横ばいが続いていたことが懸念材料でしたが、近年は伸びてきました。利益の成長が続くと安心できますね。

また、連続増配を行うという明確な表現は、IR資料からは探し出せませんでした。具体な数値目標としては、中期経営計画で、配当性向35%を目指すとしています

続いて、2023/3期の当初計画の配当金は135円でしたが、本決算にて145円へ増配が決定しました

当初計画からの利益の伸びがそのまま配当になった形です。

【将来性】これからの会社の成長性と業界の見通し

将来性については、「D」ランクと評価します。

  • リース業界9位。比較的成熟した市場であり、特出した戦略がないと、シェア拡大は困難か。
  • これまでの実績からも、成長は緩やかであり、急激な成長は期待し難い。
  • 人口減少による市場規模の縮小懸念。
  • グローバル化への見通しなし。
  • ライバル企業が複数社おり厳しい競争環境でのビジネス。
  • グローバル企業と比較して、為替や国際情勢等の影響は受けづらい。
  • 再生可能エネルギーや脱炭素分野等の市場規模拡大が予想される事業への期待。
  • 国内によるコロナの影響の回復期待。

【参考】株価は安い?高い?(バリュエーション)

過去の5年間の実績に対して、現在の株価3,900円(2023/5/26終値)が高いのか、低いのかを評価します。

用いる指標は、予想PER実績PBR予想配当利回りの3つで、過去5年間レンジとの相対比較です。

それでは、見ていきましょう。

  • 予想PERは、8.3倍と平均よりやや低い。(平均が8.8倍)
  • 実績PBRは、0.57倍とほぼ平均値。(平均が0.58倍)
  • 予想配当利回りは、3.85%と高水準。(平均が3.00%)
リコーリースの予想PERと過去レンジ
リコーリースの実績PBRと過去レンジ
リコーリースの予想配当利回りの推移
マネックス証券株式会社より

予想PERと実績PBRは、平均かやや低い程度ですが、予想配当利回りは高水準で、魅力的な株価に見えます

特に当企業は、連続増配企業であり、株主優待(クオカード、カタログギフト)も行っているので、個人投資家には好印象でしょう。

また、PERとPBRは、国内企業の平均と比べると、割安と言える値であり、特にPBRは0.57倍と1倍を割っています

積極的な株主還元を行っているにも関わらず、市場から評価されていないのは、おそらく、市場・企業の成長性の低さではないでしょうか。機関投資家から見ると、成長力を秘めた他企業の方が魅了的に映るのかもしれません。

買うタイミングの視点では、当企業は、リース事業の割合が高く、景気の影響を受けやすい景気敏感株です。景気悪化時は、株価の下落が免れないと思われます。そして、そこが買場となるかもしれません。

【参考】補足やその他の考察

魅力的な株主還元ですが、業績や将来性に難があるという評価になりました。

それゆえ、株価が伸びていないのであれば、今後も安定的に成長し、配当も増配を続けることが担保されるなら、投資冥利があるのかもしれません。

ただし、「成長が期待される」と市場が判断すると、株価は上がると思うので、難しいところですね。

投資は、リターンを得るためには、どこかでリスクを負う必要があります。

みなさんの投資判断の参考になれば幸いです。

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なぜマネックス証券を選んだのか、記事にしているので、参考にしてみてください。

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