川崎汽船<9107>は優良銘柄か?【高配当株】

川崎汽船<9107>は優良銘柄か評価してみた

こんにちは!こきゅまです。

今日は、国内3位の大手海運会社「川崎汽船」について、業績や財務状況などを分析・考察し、

高配当株として「川崎汽船」は優良銘柄なのか、評価しました。

※当サイトは、当該企業について、管理者個人が評価したものであり、当該株式の売買を推奨するものではありません。当該株式の売買等で損失等が発生したとしても、当サイトは一切の責任を負いかねます。売買に際しては、自己責任・自己判断でお願いします。

※2024年7月10日時点での内容です。

目次

【結論】評価結果

最初に結論です。総合評価は「D」ランクとなりました。

項  目評  価
業  績C
財務状況B
配  当E
将 来 性C
総合評価D
※独自の方法にて、S~Eランクの6段階で評価しています

評価される点

  • EPSとROEは、2022.3期から急上昇。直近は下落するも、過去と比較すると高水準
  • 配当額は、10年間で16倍以上に成長
  • 配当方針は、中期経営計画の中で、基礎配当に加え45円の追加配当を実施(中期経営計画2024-2026年度)
  • 大正時代から培われた100年以上の経験と経営戦略による事業拡大への期待
  • 世界経済のますますの成長とグローバル化による、国際貿易の拡大への期待

懸念される点

  • 業績は、好不調の波が激しく、過去10年間で3回の赤字あり
  • 配当金の実績は、増減配の波が激しい
  • ライバル会社との価格競争やシェア低下への懸念
  • 世界経済の低迷による輸送需要の減少への懸念

【概要】川崎汽船ってどんな会社?

国内3位の大手海運会社で、自動車輸送やLNG船に強みを持つ。

川崎造船所(現在の川崎重工業)の船舶部を母体として、1919年に設立。
ライバル企業である日本郵船、商船三井よりは短いが、それでも創業から100年以上の歴史を有する。

川崎汽船の事業概要
川崎汽船の事業概要
川崎汽船株式会社より

【業績】これまでの業績を見てみよう

業績については、「C」ランクと評価します。

  • 売上高は、コロナ禍で大きく落ち込んだが、回復傾向。しかし、コロナ前の水準までは戻っていない。
  • 営業利益は、赤字と黒字を繰り返していたが、近年は順調に回復。しかし、過去最高には届かず。
  • EPSとROEも波があるが、2022.3期から急上昇。直近は下落するも、過去と比較すると高水準
  • 直近のROEは、8%程度で物足りない。
  • 過去10年間では、3回(2017、2019、2021.3期)営業赤字あり。
ROEとは?
  • 株主が出資したお金を元手に、どれだけの利益をあげれたのかを示す指標
  • ROE=(当期純利益)÷(自己資本)×100 で求められる。(当サイトでは、自己資本ではなく、株主資本を使用)
  • ROEが高いほど、株主の資本を上手に使って利益を稼いでおり、ビジネスの質が良いと言える。
  • 一般的に10%を超えると優良企業と言われる。なお、日本国内の上場企業の中央値は7.5%程度である。
川崎汽船の業績(売上高、営業利益)の推移
川崎汽船の業績(EPS、ROE)の推移

■前期(2024.3期)の進捗について

2024.5.7に、2024.3期の本決算が開示され、増収増益(経常利益と当期純利益は減益)となりました。

  • 売上高  :2.1%の増(前期比)、進捗率102.4%
  • 営業利益 :7.5%の増(前期比)、進捗率97.4%
  • 当期純利益:84.9%の減(前期比)、進捗率99.8%

当期純利益が減益となりましたが、前期の好業績が特異であったことが原因です。
進捗も概ね計画通りで、大きな問題ではないと判断します。

■今期(2025.3期)の業績予想について

今期(2025.3期)は、増収増益の予想です。
本業が堅調に推移すること、また前期の一過性の減益要因がなくなることから、増益となるようです。

なお、為替の通期見通しは140.95円/$で、変動影響は±15億円/\1/$です。

  • 売上高  :1.8%の増(前期比)
  • 営業利益 :9.7%の増(前期比)
  • 当期純利益:14.5%の増(前期比)

【財務状況】財務状況を確認しよう

財務状況については、「B」ランクと評価します。

  • 株主資本比率は、62.1%(直近3カ年平均)で優良
  • 流動比率は、232.6%(直近)で優良
  • 営業CFは、増減が大きく、マイナスの年もあり
  • 現金等は、一定額を確保
株主資本比率とは?
  • 総資産における株主資本の割合で、企業の長期的な安全性を表す指標。
  • 株主資本比率=(株主資本)÷(総資産)×100 で求められる。
  • 株主資本比率が高いほど、総資産に占める負債等の割合が少ないことを意味し、財務が健全な状態と言える。
  • 一般的に30~40%程度あると、倒産リスクは低いと言われる。なお、日本国内の上場企業の中央値は52.2%である。
流動比率とは?
  • 流動資産と流動負債の割合で、企業の短期的な安全性を表す指標。
  • 流動比率=(流動資産)÷(流動負債)×100 で求められる。
  • 流動比率が高いほど、企業の短期的な支払い能力が高いことを意味し、財務が健全な状態と言える。
  • 流動負債(借金)を全て返せるように、一般的には最低100%以上はほしいと言われる。なお、日本国内の上場企業の中央値は207.4%である。
川崎汽船のキャッシュフロー(営業CF、現金等価物)の推移

【株主還元】株主への貢献を見てみよう

株主還元については、「E」ランクと評価します。

  • これまでの配当金の実績は、増減配の波が激しい
  • 配当額は、5.0円(2014.3期)⇒83.3円(2024.3期)と10年間で16倍以上に成長
  • 配当方針は、中期経営計画で、基礎配当40円に追加配当45円を実施(中期経営計画2024-2026年度)
  • 配当性向は、57.4%(直近)で、やや高め。
  • 過去には、赤字でも配当を出した実績あり。
  • 株主優待なし
川崎汽船の配当(配当金、配当性向)の推移
川崎汽船の株主還元方針

配当方針は、中期経営計画の中で、基礎配当40円をベースに、追加配当45円と機動的な還元として自社株買いを実施する方針です。

配当の下限を示しているのは高評価ですね。

しかしながら、これまでの配当実績を見ると、海運業は景気などの外部環境に大きな影響を受けるため、配当も安定せず、特に営業赤字の際には無配当になっていることには注意が必要です。(ただし、赤字でも配当を出した時もあります)

一方で、2022.3期や2023.3期のように大きな利益を出した時は、配当額が大きく、投資妙味が生まれます。

景気サイクルをある程度読んだり、業績が悪い時に仕込み、景気が循環するまで保有するなど、売買戦略が必要かもしれませんね。

【将来性】これからの会社の成長性と業界の見通し

将来性については、「C」ランクと評価します。

  • 大正時代から培われた100年以上の経験と経営戦略による事業拡大への期待
  • 世界経済のますますの成長とグローバル化による、国際貿易の拡大への期待
  • 国際的な輸送ニーズに対応する世界的な貿易ネットワークによる効率的で信頼性の高い輸送サービスへの期待。
  • ライバル会社との価格競争やシェア低下への懸念
  • 国内の人口減少による輸出入減少への懸念。
  • 世界経済の低迷による輸送需要の減少への懸念

なお、中期経営計画によると、“環境”と“成長を牽引する役割(鉄鋼原料• 自動車船• LNG輸送船)”に重点を置いて事業投資を行うようです。

【参考】株価は安い?高い?(バリュエーション)

過去の5年間の実績に対して、現在の株価2,522.5円(2024.7.9終値)が高いのか、低いのかを評価します。

用いる指標は、下記の3つで、過去5年間レンジとの相対比較です。
 ・予想PER
 ・実績PBR
 ・実績配当利回り
 ※株式分割の関係で、予想配当利回りは一部の推移しか見れないため、実績配当利回りで評価します

それでは、見ていきましょう。

  • 予想PERは、14.9倍とかなり高いレベル。(平均が6.8倍)
  • 実績PBRは、1.12倍と平均よりやや高いレベル。(平均が1.04倍)
  • 実績配当利回りは、3.30%と平均的なレベル。(平均が3.17%)
川崎汽船の予想PERと過去レンジ
川崎汽船の実績PBRと過去レンジ
川崎汽船の予想配当利回りの推移
川崎汽船の実績配当利回りの推移
マネックス証券株式会社より

バリュエーションとしては、平均~割高な結果となりました

  • 株価はコロナ禍で大きく上昇し、その後も上がり続けていますが、2024.3期から大幅に減益となったため、、予想PERは大きく増加しています。
  • 実績配当利回りは、配当が極めて高額となった2022.3期と2023.3期は、超高利回りとなりましたが、それ以外では、落ち着いた状況となっています。

コロナ禍で利益も配当も大きく動いているので、過去5年間の相対比較では、判断が難しいところです。

個人的な感想ですが、コロナ禍で超高配当となり、株価も急上昇していたことを見ているので、業績が落ちても株価が落ちていない直近の株価の割高感は否めず、なかなか買いづらいバリュエーションと感じています。
特に2024.3期からは利益が大きく落ち込んでいるため、割高感が否めません。

景気敏感株であればもう少し高利回りを狙いたいですね。

【参考】補足やその他の考察

当企業は、世界を代表する海運会社であり、国内3位の総合海運企業です。

しかしながら、これまでの実績を見ると、業績や配当は安定しているとは言い難く、安定した配当がほしい投資家にとっては、馴染まないかもしれません

私も、買ったら基本的には売らない戦略なので、難易度が高い銘柄という印象を受けました。

一方で、長い歴史が裏付ける実績への評価は高く、また好業績の際のリターンも大きいため、候補から外してしまうのも、もったいなく感じます。

純粋な企業分析だけでなく、景気や社会情勢も踏まえた戦略が必要と思われ、中・上級者向きかもしれませんね。

なお、国内1位の日本郵船と2位の商船三井も評価しています
同業種であるため類似点も多いですが、異なる点もあるので、どちらに投資しようか迷った際は、参考にしてみてください。

投資は、リターンを得るためには、どこかでリスクを負う必要があります。

みなさんの参考になれば、幸いです。

高配当株投資には、1株から買えて、しかも買付手数料無料のマネックス証券のワン株がおすすめです。

なぜマネックス証券を選んだのか、記事にしているので、参考にしてみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次